GIGAスクール構想によって全国の学校に導入された端末のうち、iPadは約40%のシェアを占める主要デバイスです。Appleはこうした状況を受け、日本の教師や教育委員会向けに「GIGAスクール構想をAppleと」という専用サイトを公開し、学年・教科別の授業ガイドや実践事例を提供しています。
iPadに標準搭載されているPages(文書作成)・Numbers(表計算)・Keynote(プレゼンテーション)は、すべて無料で使えるApple純正アプリです。この3つは独立したツールとして使えるだけでなく、連携させることでより深い学習体験を生み出せる点が特徴です。この記事では、Appleが公式に紹介している実践事例をもとに、各ツールの具体的な授業活用法を解説します。
Pages|「書く・表現する」を多様な形で実現
実践事例①:国語・詩の創作授業(鹿児島市・小学校)
鹿児島市の小学校の国語教師がiPadとPagesを使って、2年生向けに詩を創作する授業を実践しています。Pagesは文字だけでなく、写真やイラストなどの要素を組み合わせることができるため、子どもたちが自分の気持ちや伝えたい内容を作品に多様な方法で表現できる点を活かしました。
この実践の教員は、テクノロジーを学びの主役である子どもが思考を深めたり、クリエイティビティを発揮したりするためのツールとして授業の様々な場面で活用したいと語っています。文字が苦手な子も、写真やイラストを使って自分らしい詩の表現ができるようになった点が成果として挙げられています。
実践事例②:国語・物語紹介のマルチメディア作品(横浜市・小学校)
横浜市の小学校で2年生を担任する教員が、国語の授業でPagesをはじめとしたAppleアプリを組み合わせた実践を行っています。生徒が自分で撮影した写真、画用紙に描いた絵、録音した声、自作した音楽などを組み合わせ、物語をクラスメートに紹介するマルチメディア作品をiPadで制作しました。
文字の習得に個人差がある小学校低学年において、テキストだけに頼らず多様な表現手段を組み合わせることで、より多くの子が自分らしいアウトプットを実現できた実践です。
実践事例③:Keynote・Numbersとの連携レポート作成
Appleが推奨する授業デザインのひとつとして、Numbersでデータ化した実験結果をPagesでレポートにまとめ、Keynoteで発表するというアプリ連携の流れがあります。理科などの実験・観察授業において、実験→記録→分析→発表という学びの全プロセスをiPad1台で完結させることが可能です。
Numbers|「データを読む力」を育てる理科・数学の実践
実践事例①:理科の実験データ分析(北海道・中学校)
北海道の中学校で理科を教える教員がiPadとNumbersを使って、生徒が主体的に学ぶ授業を実践しています。実験で測定した数値をNumbersに入力するとグラフがリアルタイムで変化し、事象を視覚的に理解できるようになります。
この実践では、これまで苦手意識を持っていた生徒の興味関心を引き出すことができたと報告されています。また、手書きに費やしていた時間を短縮できたことで、じっくりと考察に取り組めるようになり、生徒同士の意見交換も活発になりました。Numbersの図形や描画などの機能を使って、自分なりにまとめ方を工夫する生徒も現れたといいます。
実践事例②:統計・データ活用の探究学習
NumbersはAppleの「GIGAスクール構想をAppleと」サイトで提供されている授業ガイドのルーブリック(評価表)にも活用されています。学習指導要領の3観点に沿って3段階で評価できるルーブリックがNumbersファイルで提供されており、先生がそのまま評価シートとして活用できます。
数学の統計単元やデータ活用の授業では、生徒が自ら収集したデータをNumbersで整理・グラフ化し、そこから仮説を立てて検証する探究的な学習の展開が可能です。
Keynote|「伝える力」を発揮するプレゼンテーション授業
実践事例①:小学校3年・国語「オーディオドラマを作る」
Appleが提供する小学校3年生・国語の授業ガイドには、「オーディオドラマを作る」という授業プランが掲載されています。この授業ではカメラ・メモ・Pages・Keynote・GarageBandを組み合わせて活用し、生徒が物語を読んで想像した世界をオーディオドラマとして表現します。
Keynoteのアニメーション機能を使ってキャラクターを動かしたり、GarageBandで効果音を作成して組み合わせたりすることで、読解力と表現力を同時に育てる創造的な授業が実現します。
実践事例②:音楽・GarageBandとの連携発表
音楽教師がiPadとGarageBandを活用し、誰もが楽しみながら創作に取り組める授業を実践しています。楽譜が読めなくても楽器が演奏できなくても、直感的な操作で生徒の発想を音楽で表現できるGarageBandで作曲し、その作品をKeynoteのスライドで発表するという組み合わせが実践されました。
教員は「クリエイティビティはこれからの時代に求められる力であり、音楽はゼロから何かを生み出す力を伸ばすのに適した教科」と述べており、KeynoteとGarageBandの組み合わせがその実現を後押ししています。
実践事例③:クラスルームアプリとの連携で授業管理を効率化
iPadには「クラスルームアプリ」(無料)が用意されており、先生のiPadから生徒全員のiPadに特定のアプリを一斉に起動させたり、生徒の画面を確認したりすることができます。Keynoteでのプレゼン発表授業では、先生が発表ファイルをクラスルームアプリから一斉配信し、生徒は自分のKeynoteで受け取って即座に編集開始、という流れを素早く設定できます。
Pages・Numbers・Keynote連携|3つをつなげた深い学び
Appleが特に推奨しているのが、3つのアプリを連携させた授業デザインです。理科の実験を例にとれば、Numbers(実験データ入力・グラフ化)→Pages(レポート作成)→Keynote(発表)という一連の学習の流れをiPad1台でシームレスに進めることができます。
この連携を活用した授業を実践した教員は、生徒たちは自分が思っていた以上にiPadの様々な機能を活用し、驚くようなアウトプットを生み出していると述べています。教科・単元に合わせてどのアプリをどの場面で使うか設計することで、より深い学びを引き出すことができます。
まとめ|iPadの強みは「創る・表現する」学びにある
Pages・Numbers・Keynoteは単体でも使えますが、3つを連携させることでiPad1台で調べる・記録する・まとめる・発表するという学習の全プロセスを完結させることができます。Apple公式の「GIGAスクール構想をAppleと」サイトには、学年・教科別の授業ガイドPDFが公開されており、すぐに使える授業計画と評価ルーブリックも提供されています。まずはそのガイドをダウンロードして、自分の授業に合うプランを探してみるところから始めてみましょう。
もっと学びたい先生へ|おすすめ書籍
iPadを使った授業設計の考え方や、Pages・Numbers・Keynoteの具体的な操作方法を学べる書籍が複数出版されています。Apple Teacher プログラムの学習コンテンツ(無料)と合わせて活用すると、より体系的にスキルアップできます。教科別・学年別の実践事例集も参考になります。
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