この記事を書いた人:ICT支援員K
公立小中学校数校を巡回し、ICT機器の選定・校務支援ツールの導入サポートを行っています。この記事で紹介する8つのサービスは、すべて実際に自分のアカウントで一定期間使い込んだうえで、支援先の先生方の反応も見ながら評価しています。合わないと感じたものは正直に「合わない」と書いています。
最終更新:2026年7月29日/初稿公開:2026年7月1日
「会議資料、通知表の所見、保護者へのお便り…授業以外の仕事だけで定時を過ぎてしまう」
そんな先生からの相談を、支援先の学校で数えきれないほど受けてきました。この記事では、実際に自分の手で試したAIサービスの中から、校務(授業以外の事務作業)に使えるものを8つ紹介します。単なる機能の要約ではなく、「どんな学校・どんな先生に向いているか」「導入するとどこでつまずきやすいか」まで踏み込んで書いています。
文部科学省も「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」を整備し、校務における生成AI活用を積極的に推進する方針を示しています。
ICT支援員 KAI活用の全体像を先に知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。


この記事の検証方法
紹介する8サービスのうち、ChatGPT・Claude・NotebookLM・Notion AI・Canva AIの5つは、筆者が実際に自分の校務データ(会議録音、規定文書など、個人情報を含まないもの)を使って検証しました。スタディポケット for TEACHERSとtomoLinksについては、支援先の学校が導入した際の運用に立ち会い、担当の先生への聞き取りを行いました。次世代型校務支援システムについては、現時点で個人検証ができる性質のサービスではないため、公表されている情報と自治体の導入事例をもとに解説しています。
校務でAIを使う前に知っておきたいルール
具体的なツール紹介の前に、最低限のルールを確認しておきましょう。文部科学省のガイドラインでは、プロンプトに児童生徒の氏名や成績といった重要性の高い情報や個人情報を入力していないかを確認することが求められています。多くの学校・自治体でも同様の方針が示されているため、利用前に必ず自校のルールを確認してください。
また、AIの出力はあくまで「たたき台」です。最終的な文章の確認・修正・判断は教員自身が行うことを前提に使いましょう。私が支援に入った学校でも、AIが作成した保護者向けの文章をそのまま配布しようとして、日付の誤りに気づかず配布直前で発見した、というヒヤリとした場面に立ち会ったことがあります。便利さに慣れるほど、最終チェックの手間を惜しまないようにしたいところです。
1. ChatGPT(OpenAI)|とりあえず何でも相談できる「万能の壁打ち相手」
校務でのAI活用というと、まず名前が挙がるのがChatGPTです。学級通信や保護者向けの案内文、会議資料の論点整理など、文章作成全般に幅広く対応できます。
自分が実際に使い始めたきっかけは、運動会の延期案内を大量の保護者向けに、しかも学年ごとに文面を微調整して送る必要があった場面でした。「運動会の延期を知らせる保護者向けのお便りを、丁寧な言葉遣いで300字程度で作成して」と依頼したところ、下書きは1分足らずで出てきましたが、正直に言うと最初の出力はやや硬い印象で、そのまま使えるレベルではありませんでした。「もう少し柔らかい言い回しに」「学年ごとの行事名を反映して」と2〜3回やり取りを重ねて、ようやく使える文面になった、というのが実感です。ゼロから書くよりは確実に速いものの、「一発で完成品が出る」という期待はしない方がいいというのが正直な評価です。
無料版でも基本的な文章生成は十分に行えるため、まずは無料版から試してみるのがおすすめです。1人で使う分には手軽ですが、学校全体で導入するとなると、教職員ごとにアカウント管理が必要になる点は運用上のハードルになります。ChatGPTのより詳しい使い方や最新機能については、ITが苦手でも大丈夫!ChatGPTの使い方完全ガイドで基本操作から解説しています。


2. Claude(Anthropic)|長い資料を「読ませる」ならこちらに軍配
Claudeは長い文章の読解・要約・整理を得意とするAIです。実証事業でも、会議資料の論点整理や評価軸の設定に活用された事例があり、複数の意見をまとめて議論の方向性を整理するような場面で力を発揮します。
ChatGPTとClaude、どちらも似たようなチャット型AIに見えますが、実際に同じ資料(40分程度の職員会議の文字起こし、約1万2000字)を両方に読み込ませて比較してみたことがあります。ChatGPTは要約自体は素早く出てきたものの、細かい発言の順序や、誰がどの意見を述べたかという点であいまいさが残る場面がありました。一方Claudeは、同じ資料に対して「決定事項と継続協議事項を分けて箇条書きにして」と指示したところ、発言の文脈を踏まえた整理がされており、個人的にはこの用途ではClaudeの方が安心して任せられると感じています。逆に、雑談交じりのアイデア出しのような場面では、ChatGPTの方が気軽にやり取りしやすい印象です。用途によって使い分けるのが現実的だと思います。詳しい活用法はClaudeの使い方完全ガイドで紹介しています。


3. NotebookLM(Google)|「アップロードした資料だけ」を根拠に正確に答えるAI
NotebookLMは、ChatGPTやClaudeのような一般的なAIチャットとは異なる仕組みを持つAIです。インターネット上の膨大な情報をもとに回答するのではなく、自分がアップロードした資料だけを情報源として回答する「グラウンディング」という仕組みを採用しています。
この記事の執筆にあたっても、実際に自分の勤務先の会議録音データを読み込ませて検証しました。議事録のドラフトとタスク抽出は数十秒で完成し、精度も体感としてかなり高いと感じています。ChatGPTやClaudeが「文章を作る・整えるのが得意なAI」だとすれば、NotebookLMは「勝手に話を広げず、資料の中身だけで答えるAI」という違いがあり、校務文書のように正確さが最優先される場面ではNotebookLMを選ぶようにしています。回答には必ず出典(資料のどこを見たか)が明示される点も、確認作業の手間を減らしてくれます。より詳しい検証結果はITが苦手でも大丈夫!NotebookLMの使い方完全ガイドにまとめています。


4. スタディポケット for TEACHERS|「プロンプトを考えるのが苦手」な先生の受け皿
スタディポケットは、教育分野・学校に特化した生成AIクラウドサービスです。最大の特徴は、文部科学省の生成AIガイドラインに準拠して開発されている点と、コンテンツフィルタリング機能を備えている点です。
支援先の学校でこのサービスの導入に立ち会った際、印象的だったのは、ChatGPTやClaudeを「怖くて使えない」と感じていたベテランの先生方の反応でした。逆引きモードでシーンを選ぶだけで使い始められる設計のためか、「プロンプトという言葉自体がハードルだった」という先生からも、比較的スムーズに使い始められたという声を聞いています。一方で、汎用AIのような自由度の高いやり取りには不向きな面もあり、「決まったシーン以外の相談には物足りない」という感想も出ていました。導入のしやすさを重視するか、自由度を重視するかで評価が分かれるサービスだと感じます。より詳しい機能やプランの選び方はスタディポケット for TEACHERSの使い方完全ガイドで解説しています。


5. tomoLinks(コニカミノルタジャパン)|学校単位での導入が前提の総合型サービス
tomoLinksは、生成AIやデータ分析を活用した学習支援サービスです。AIドリル機能により、多様な教材やAI、教育データを活用して児童生徒の学びと教員の指導を支援するほか、文部科学省のCBTシステム(MEXCBT)に対応する学習eポータルを軸に、授業支援や連絡帳機能なども1つのアプリで提供しています。
ここまで紹介した4つのサービスとは違い、tomoLinksは個人で契約して試すタイプのサービスではありません。学習eポータルとしての導入は、教育委員会や学校単位での契約が前提となるため、興味を持ったからといってすぐに個人で試せるわけではない点に注意が必要です。支援先の自治体では、既存の校務支援システムとのデータ連携をどう整理するかという調整に、想定より時間がかかっていた場面を見ています。学習支援と校務を1つのプラットフォームでまとめたいという明確な目的がある学校・自治体には向いていますが、「とりあえず試したい」という個人の先生には、ここまで紹介した他のサービスの方がハードルは低いというのが実感です。詳しい機能や導入の考え方はtomoLinksの使い方完全ガイドで紹介しています。


6. Notion AI|複数の校務を抱える先生の「司令塔」
Notion AIは教育専用ツールではありませんが、週次の授業計画や校務分掌の進捗管理を一元化でき、議事録の要約なども自動化できる点で、校務との相性が良いツールです。
正直なところ、単発の文書作成であればChatGPTの方が手軽です。Notion AIが真価を発揮するのは、複数の校務を並行して抱えていて、「何がいつまでに必要か」を横断的に管理したい場面だと感じています。自分の場合、支援先の複数の学校を掛け持ちしているため、学校ごとの対応状況をデータベースにまとめ、会議メモの要約をタスクに変換する使い方をしていますが、この管理方法に慣れるまでは多少の学習コストがかかりました。単純な文書作成だけを目的とするなら、他のツールの方が導入は速いかもしれません。文書管理からタスク整理までの具体的な活用法はNotion AIの使い方完全ガイドで解説しています。


7. Canva AI(Magic Write など)|「文章はできたけど見た目が」を解決
Canva AIは、学級通信や発表用スライド、広報物などをテンプレートから短時間で高品質に作成できるデザイン特化のAIツールです。特別なデザインスキルが不要な点が、多忙な教職員にとって大きなメリットになります。
文章はChatGPTやスタディポケットで作成し、見た目の仕上げをCanva AIで整える、という組み合わせ使いを自分でも実践しています。この使い分けをするようになってから、学級通信のようなデザイン性が求められる配布物にかかる時間が体感で半分以下になりました。無料プランでは使える素材数に制限がありますが、Education版(教育現場対応版)であれば無料で導入できるうえ、有料プラン同等の素材が用意されています。Canva AIの具体的な機能や操作方法はCanva AIの使い方完全ガイド、料金体系やテンプレートの雰囲気が異なる選択肢としてMiriCanvasとは?Canvaとの違いと活用方法もあわせてご覧ください。




8. 次世代型校務支援システム(AI機能搭載型)|自治体単位の大きな動き
文部科学省は2026年度から、都道府県を中心とした次世代型校務支援システムの導入を推進しています。通知表や指導要録の所見欄作成では、過去データやキーワードをもとにAIが文章案を提示する機能を備えた製品も登場しており、作業時間の短縮と内容の精度向上を両立できるようになってきました。
これまで紹介した7つとは異なり、個人の先生が「使ってみよう」と決めて始められる性質のものではありません。学校や教育委員会単位での導入が前提であり、実際に自分が関わっている自治体でも、既存システムからの移行スケジュールや、教職員向け研修の設計といった課題が先行して議論されている段階です。興味があれば、まず校内のICT担当や管理職に、自治体としての導入検討状況を確認してみるとよいでしょう。
サービスの選び方:組織規模・目的別の目安
8つを並べて眺めると分かりにくいと思うので、自分なりの選び方の目安を整理します。
- 個人でまず1つだけ試したい先生:ChatGPTまたはスタディポケット for TEACHERS(プロンプトに不安があるなら後者)
- 長文の資料を正確に読み込ませたい先生:ClaudeまたはNotebookLM
- デザイン性のある配布物や授業スライドを作りたい先生:Canva AI
- 複数の校務を並行して管理したい先生:Notion AI
- 学校・自治体単位で本格導入を検討している管理職:tomoLinksまたは次世代型校務支援システム
あくまで筆者個人の使用感に基づく目安であり、学校の状況や個人の慣れによって最適解は変わります。可能であれば無料プランやトライアル期間のあるサービスから、小さく試してみることをおすすめします。
まとめ|まずは1つの業務から試してみよう
校務に使えるAIサービスは、ChatGPTやClaudeのような汎用型から、スタディポケットやtomoLinksのような教育特化型まで幅広く存在します。どれか一つに絞る必要はなく、用途によって使い分けるのが現実的です。実際に自分でも、複数のサービスをその日の業務内容に応じて使い分けています。
まずは個人情報を含まない業務、例えば学級通信の下書きや会議資料の要約など、リスクの低いところから試してみることをおすすめします。
続けて、教材作成や個別最適化学習に使えるAIサービスは「授業編」でも具体的に紹介しています。あわせて【授業編】学校現場でおすすめのAIサービス8選もご覧ください。


この記事の情報について
本記事は、筆者が実際に各サービスを検証・利用したうえで執筆していますが、AIサービスの仕様や料金プランは頻繁に更新されます。記載内容と現在の画面や条件が異なる場合がありますので、契約・導入を検討される際は必ず各サービスの公式サイトで最新情報をご確認ください。記事内容に誤りが判明した場合は、速やかに訂正いたします。
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