前回の「校務編」では、会議資料や通知表所見など事務作業を効率化するAIサービスを紹介しました。今回は授業編として、教材作成やプレゼン資料、個別最適化学習に使えるAIサービスを具体的に紹介します。
文部科学省のガイドラインでは、生成AIの活用例として児童生徒の指導に関わる業務の支援(授業準備など)が挙げられており、全国の生成AIパイロット校からも様々な活用例が生まれています。授業の質を高めながら準備時間を短縮するヒントとして参考にしてください。
授業でAIを使うときの注意点
授業準備にAIを使う際も、出力された内容を鵜呑みにせず、教員自身が事実関係や表現の適切性を確認するファクトチェックが欠かせません。特に歴史的事実や数値データなど、正確性が重要な内容については、教科書や信頼できる資料との照合を必ず行いましょう。
1. ChatGPT|授業の構成案や発問のアイデア出しに
授業準備の定番として使えるのがChatGPTです。「世界史の○○〜○○の範囲で授業の構成を考えて」「数学の○○の単元の分かりやすい教え方を考えて」のように指示すると、構成案や教え方のアイデアを提示してくれます。
ゼロから指導案を考えるのではなく、AIが出した案をたたき台に、自分のクラスの実態に合わせてアレンジする使い方が効率的です。小テストの問題作成にも活用でき、特に国語や英語など文章を扱う教科では、選択肢の作成を短時間で複数パターン生成できる点が便利です。
2. Google Gemini for Education|Google Workspaceとの連携が強み
Gemini for Educationは、Google Workspaceと連携し、Google Docs、Gmail、Classroomなど普段使っているプラットフォームから利用できる点が特徴のAIです。学習目標付きの授業計画テンプレートや教材生成機能を備えており、すでにGoogle Classroomを校務で使っている学校であれば、追加の操作を覚える負担が少なく導入しやすいでしょう。
3. スタディポケット for STUDENTS|生徒が安心して使える教育特化AI
校務編でも紹介したスタディポケットには、生徒向けの「for STUDENTS」もあります。コンテンツフィルタリング機能により不適切な内容にはAIが返答しない設計になっており、文部科学省のガイドラインに準拠して開発されている点も安心材料です。
端末で撮影した手書きの文字や資料を読み取り、グラフや図形、地図を理解した上で学習相談ができる機能もあり、探究学習や自由研究のサポートツールとしても活用できます。生徒に直接AIを使わせる際の「安全性」を重視する学校に向いています。
4. Canva AI(Magic Write・Magic Animate など)|スライド教材を直感的に作成
Canva AIは、ドラッグ&ドロップの直感的な操作で授業スライドを作成できるツールです。Magic Writeでテキストを書き換えたり要約したりでき、Magic Animateで静的な教材をアニメーション化することもできます。ニューヨーク・タイムズやNASAなど専門機関と協力した教材リソースも提供されており、すぐに授業で使える素材を探す際にも便利です。
デザインスキルに自信がない先生でも、テンプレートを選ぶだけで見栄えの良いスライドが作れる点が大きなメリットです。
5. Gamma|プレーンテキストから一瞬でプレゼン教材を作成
Gammaは、プレーンテキストをワンクリックで見栄えの良いプレゼンに変換できるAIツールです。要素を自動整列するレイアウト機能や、文章の生成・改善を行う内蔵AI機能を備えています。指導案の文章を貼り付けるだけでスライド化できるため、放課後の限られた時間でプレゼン教材を仕上げたいときに重宝します。
6. Diffit|同じ教材を学力差に合わせて自動調整
Diffitは、一つの教材を生徒の学年レベルに合わせて自動調整できるツールです。学年相当の内容をすべての生徒が利用できるようにする設計で、テキストの貼り付けだけでなく、記事URLやYouTube動画の書き起こしなど様々な形式のソースを教材化できます。
特別な支援が必要な生徒や、学力差のあるクラスでの個別最適化学習に強みを持つツールです。同じ単元を複数の難易度で用意したいときに活用できます。
7. すらら|AI型学習教材で予習・復習を個別最適化
すららは、AI型学習教材として知られるサービスで、レクチャー・ドリル・テスト機能を通じてインプットからアウトプットまでをオンラインで完結できます。実際の導入校では、すららを予習ツールとして活用することで学習進捗が可視化され、生徒ごとの予習の実施度合いを教員が把握しやすくなった事例もあります。
知識のインプット部分をAI教材に任せ、授業時間はディスカッションや思考を深める時間に充てる、という「反転授業」的な使い方ができる点が特徴です。
8. QuillBot|英語・国語の教材作成や言い換え指導に
QuillBotは、文章の言い換え(パラフレーズ)に特化したAIツールです。教師が既存の教材から新しいワークシートを作る際に、表現のバリエーションを増やす目的で活用できます。文法チェックや剽窃チェック機能も備えているため、生徒の作文指導や英語学習の場面でも役立ちます。
無料プランもあるため、まずは試しに使ってみて、教材作成のスピードがどれだけ変わるか体感してみるとよいでしょう。
まとめ|教材作成から個別最適化学習まで、目的別に使い分けよう
授業に使えるAIサービスは、構成案を考える段階(ChatGPT、Gemini)、教材を仕上げる段階(Canva AI、Gamma)、生徒の理解度に合わせて調整する段階(Diffit、すらら)など、授業準備の工程ごとに得意分野が異なります。
すべてを一度に導入する必要はありません。まずは自分が一番時間をかけている工程、例えばスライド作成や問題作成のどこか一つにAIを取り入れてみることから始めてみましょう。校務編で紹介したツールと組み合わせれば、授業準備から事務作業まで一貫してAIをサポート役に活用できるようになります。


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